永田部長の言ってることと、やってることが完全に不一致 memo)
平成26年度福祉サービス苦情解決研修会講演概要について平成26年度福祉サービス苦情解決研修会 ~企業の苦情対応に学ぶ~
講演:苦情・クレーム等対応時のコミュニケーション~企業のお客様相談室の応対技法等に学ぶ~
講師:株式会社NTTドコモお客様相談室 担当部長永田昌靖氏
平成26年11月13日と14日に開催しました「福祉サービス苦情解決研修会」において、株式会社NTTドコモお客様相談室担当部長永田昌靖様からご講演をいただきました。非常に参考になったとのご意見を多くいただきましたので、内容の一部を紹介させていただきます。
講演内容(一部抜粋)
苦情やクレーム等の対応については企業のお客様相談室と福祉の現場で同じようなこともあると思うので、参考にしていただきたい。苦情やクレームに対し、技法を用いて迅速に謝罪し適切に答えることは大事であるが、同じことが起きないようにその声を活かすことが大切であり、真摯に受け止める姿勢が求められる。苦情やクレームは宝の山と言われるが、記録し情報共有していくことが必要になる。また、クレームや苦情と言うと厄介なことという捉え方が非常に表に出ることから、そうは言わずに多くの企業では「ご指摘」という言葉を用いている。
【クレームが増加している社会的背景】
社会的背景として4つぐらいの特徴が挙げられる。
一つはサービスはよくて当たり前になったこと。
二つめは消費者の権利意識が大きくなってきたこと。
三つめはストレスが増大する社会であること。
四つめはスマートフォン等ネット社会になっていることである。
企業で苦情を受けていると、お客様の側の属性・層として五つの類型の方々が多い。またサービス提供する側にもいくつか要因がある。
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お客様の側の一つは、モンスターペアレント、モンスターペイシェントと言われるような自己中心的で理不尽な要求をする人たちが挙げられる。
二つめは、団塊世代の方々で、退職して消費者側に回った時に自分の過去の経験や知識、培ってきた価値観を踏まえて、厳しいことをおっしゃる方も多い。
三つめは、昭和40年代世代で、突然切れ出す人が多い。校内暴力世代で大人になりきっていない感覚が残っているのか、結構、企業にとっては厄介な年代と捉えられる。
四つめはネット世代の若年層で、目上の人との関わりが苦手なためか上から目線である。ネットに書くぞと言う方も若年層に多い。また、対応の困難なお客様で、なんらかの心の病を持っている方もある。それを踏まえた対応を注意深くおこなう。反社会的勢力は企業に来ることはなくなったが、個人のトラブルに付け込んで来ることもあるので、注意が必要である。サービス提供者側では、スタッフの流動性が高く若年層が多いので、高齢者への接し方に慣れていないこと等の問題もある。
【企業のご指摘対応担当者の心得やノウハウ】
企業ではご指摘に対しては何がどうあってもまず謝る。はじめは事実かどうかわからないので、不快な思いをした気持ちに対して、印象に対して、手間をかけたことに対して、部分謝罪を行う。次に、話を傾聴する。謝罪と傾聴を一体化して、聴きながら謝り、謝りながら聴く。話の序盤では言いたいことを話していただくよう積極的傾聴を行う。話が長くなる相手に対しては、相手の問いかけにいちいち反応するのでなく受け流して質問で返す。最初は謝罪と傾聴のみで、話の途中からは、こちらから質問をして話を明確にしていく。質問しないと話の主導権が取れず、話が前へ進まなくなる。話を聴いた後、申出が本当であるか、こちらに間違いや落ち度、不具合、瑕疵があるか調べる。調べた結果、何か悪いところがあれば謝って原状回復をする。調査結果によっては毅然として申出を断る場合があるが、その場合でも謝りながら断る。「申し訳ありません、ご本意でない回答をお伝えするのですけど」といった事前謝罪(クッション言葉)や、「ご容赦ください」など相手側を主語にして依頼形の表現をするなど柔らかい表現で断る。今は学校や実社会で謝ることについてあまり教育されていないから謝る言葉に慣れていないが、苦情担当者は、その場にあった謝罪の言葉が出せるよう意
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識的にトレーニングをすることも必要である。言葉だけでなく態度で表現することも重要である。苦情を聞く中で相手から共感を求められた場合、担当者の個人的見解を答えずに「そういうお気持ちは理解しております」等の間接的同調の表現を用いる。担当者が「規則です」等と説明しても相手の理解が得られない場合、世の中の常識や社会通念を引用することが有効な場合もある。親近効果の法則で、“できないこと”を先に、“できること”を後で言った方が納得いただける可能性が高くなる。相手との話の最後の締めでは、名前を名乗ったり、「長時間になって済みませんでした」と謝ったり、お礼を言ったりして前向きな印象を残すことが大事である。
【クレーマーにしないためのポイント】
初期対応で部分謝罪を行い、しっかり聴いたうえで事実確認をしっかりと行うことで、ほとんどの苦情は収まる。相手の言葉や態度で決めつけず、申出内容を冷静にしっかり聴いて、要望や要求内容が妥当なのか不当なのか、過剰なのか適切なのか、しっかり見極める必要がある。また、対応に追われるだけでなく、お客様の元々の疑問解消、問題解決が出来ているのかということを最優先する必要がある。“人を変える”、“時を変える”、“場所を変える”といった対応も大事である。「上を出せ」と言われた場合、上が出て行って同じ説明することで相手が納得する場合も多く、また時間をおいたり別室に誘導したりすることもあるが、これらは合理的が解決方法として有効である。
【ご指摘を防ぐ、ご指摘を活かす】
人はサービスの提供に対して、「気分が悪い」「損した気分」になった時に怒りを感じる。それは事前期待のレベルにもよるので、その辺を考えたサービス提供を行う必要がある。福祉サービス従事者は企業の対応より以上に細かく気を遣う対応が求められるところがある。本当によくやっていただいており、個人的にも非常に感謝している。
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福祉サービスにおいても、苦情を言いやすい環境・しくみづくり、相談窓口の設置、担当者の「迅速・一人称・親身」な対応、改善を行い再び起こさないように共有化すること等が必要である。
【ご指摘対応担当者の心意気】
今まで話してきたように、企業の苦情対応担当者は「感情労働」である。感情労働は、「感情労働に従事する者は、たとえ相手の一方的な誤解や失念、無知、無礼、怒りや気分、腹いせや悪意、嫌がらせによる理不尽かつ非常識、非礼な要求、主張であっても、自分の感情を押し殺し、決して表には出さず、常に礼儀正しく明朗快活にふるまい、相手の言い分をじっくり聴き、的確な対応、処理、サービスを提供し、相手に対策を助言しなければならない。」(Wikipedia「感情労働」より引用)というもので、福祉サービス従事者も感情労働の側面がある。ストレスがすごくあるが、忘れることも才能であると思っている。企業では困難なことであっても覚悟を持ってやっているが、福祉サービスはより厳しいところでやっていることはわかっている。仲間や組織で助けあい、協力しながらご指摘やトラブルに立ち向かって行っていただきたいと思う。
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