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■苦情から予期せぬ出来事までクレーム処理の「極意」
誰でも「クレーム」は避けて通りたいもの。けれども、そんなクレームの裏にこそ大きなチャンスが隠されているもの
●クレーム対処マニュアルなど 存在しない!マニュアルに沿った対応をすると多くが失敗する。
今まで数多くのクレーム処理に当たってきた。その経験のなかでわかってきたことは、クレームにはまったく同じものが二つとない。そのため「こんなクレームにはこう対処する」といったマニュアルは作れないし、役に立たない。100人の客がいれば100通りのクレームがあり、100通りの処理の仕方がある。ただし、クレーム処理の基本はただ一つ。それは「客の立場に立つ」ということ。
クレーマーには悪意を持っている人は少ない。スタッフは、客一人ひとりの立場に立ってクレームを処理していかなくてはならない。 クレーム処理は失敗の連続。しかし、そこから学んだことを次に生かしながらクレーム処理に応対すべき。
●クレームは チャンスだ!
まず知っておかなければならないのは、「クレーム処理」の仕方一つで、売上が左右される。アメリカのNRAの過去の統計から見ると、サービス、商品、店内の清潔さなどに不満を持った客のうち96パーセントの人は店に直接クレームを言わず、二度と来店しないという結果が出ている。また、店に不満を抱いた客は店の悪口を10人の人に話す。つまり自店に来店したことのない人までが店から遠ざかってしまう。一方クレーム処理を正しく行なえば、客はまた来店してくれますし、満足のいくクレーム処理についてほかの人にも話してくれます。つまり口コミでよい評判も流れるというわけです。クレームを申し立てるのは、不満を感じた客のうち、たった4パーセントに過ぎないが、その人たちは店にとって大切なアドバイスを提供してくれたのです。店の問題が大きくなる前に解決できる良いチャンスを与えてくれたという感謝の気持ちを持って接することが、何より大切なのではないでしょうか。
では、以下にクレームの数々について話してい くことにしましょう。
●クレームを元から改善する
こちらのミスなのですぐに謝ったのですが、客は納得しません。いったいどうすれば解決できるのかを聞くと「偉い人が謝りに来い」と言います。「どうしたらよろしいでしょうか」と聞くと「社長を連れて来い」と言うではありませんか。困り果てた私は社長に事情を話し、行ってもらえないか相談しました。すると、社長はその日のうちに病院に謝りに行ってくれたのです。私は病院で揉めてしまうのではないかと気が気ではありませんでしたが、客は社長と握手をして大満足のご様子。これでクレーム処理は終了したかに見えました。
けれども、社長は生やさしい社長ではありませんでした。「クレームの元を潰すように」と命じたのです。 気が付けば、最初のクレームが発生してから完全に解決するまでに足掛け20年ほどの歳月が過ぎ去っていたのでした。 時間は掛かりましたが、この経験から、なぜクレームが起こったのか原因を突き止め、それを改善していくことの大切さを学びました。クレームの芽を摘み取っていくことで、お客様により信頼していただける店に近付くことができるはずです。
●サイレントクレーム
「あなたの店は感じが悪いから嫌だ」といった言葉を掛けられたのです。
知らず知らずのうちに店は、不満を感じた客がクレームを言わずに離れていく「サイレントクレーム」という渦中にはまりこんでいたのです。このクレームはまさに、お客を訪問して始めてわかったことでした。この後、店では全スタッフで繰り返しミーティングを行ない、そのなかで「このような態度で接したらお客様はどのように感じるか」といったことを話し合い、お客への「気配り」の向上を図りました。その結果、10ヵ月を経過する頃には売上が徐々に上がっていったのでした。
通常、クレームを言うお客を嫌がるのですが、クレームを解決すれば、そのお客は再び店を利用してくださいます。けれども、店の商品やサービスなどに不満を感じても直接クレームを言わないお客は、その不満をほかの人に話し、悪い評判が広がってしまう危険があります。 そういったことを避けるためにも、店はお客にアンケートや訪問調査などを実施し、その不満を知ったうえで対策を立てることが大切です。
店はクレームがないからと言って、安心していてはいけません。 近所の人たちや来店するお客と会話するチャンスを積極的に持ち、サイレントクレームを知ることが大切だと言えるでしょう。
●クレームの先に予期せぬ出来事
ある日、お客からクレームがありました。それは、「カビが生えていた」といったものでした。お客様がお持ちになった品を見ると、たしかにカビがびっしりと生えています。 けれどもロゴマークを見た私はほっと胸を撫で下ろしました。当社のではなかったからです。 それはそっくりのロゴマークと名称で、知らない人が見たら間違えてしまう程類似した商品でした。 そこで、お客様に当社の製品ではないことを説明したところ、納得してお帰りになりました。 クレーム処理の鉄則は、「記録をしっかり残す」こと。けれども、「そそっかしいお客様だなぁ」と、事件を軽く考えた私は、お客様の名前、住所、商品を購入した場所の正確な住所を記録しておくことを忘れていました。後でそれがどんな大事件を引き起こすことになるのかなどとは想像もせずに…。
自社のロゴにポリシーを持っている会社です。そこで、名前もロゴマークも酷似している相手の登録商標の取り消しを訴えることになりました。
しかし、先方には違法性はありません。結局、裁判所の第一審では敗訴してしまったのです。 そこで、以前誤認のクレームを経験した私が、裁判所の控訴審で証人として出廷することになりました。 そして裁判当日、証言をした私は、先方の弁護士から質問されて顔面蒼白となりました。なぜなら、弁護士は、「クレームを申し出た人の名前、住所」について訊いてきたからです。 結局私は答えることができませんでした…。 裁判の後、私は上司に「クレームを申し出たお客様の氏名住所を正確に記録しておけば、裁判の勝利は薄氷を踏むようなものではなく、もっと確実だったのだよ」という言葉を掛けられました。 それ以来、クレームなどの問題が発生すると、必ず詳細に記録に残すようになったのは言うまでもありません。
読者の皆さんのなかにも「その場でクレーム処理できたから大丈夫」と、記録をとらなかった経験を持つ人もいるのではないでしょうか。 私の事件のようなことは滅多に起こらないでしょうが、何が起こるかは誰にも予知できないものです。後になってばたばたしないためにも、くれぐれもしっかりと記録を付けることが大切だと言えるのです。 では最後に、クレームを処理するときの留意点についてお話ししておきましょう。
●クレームを処理するときの 注意点
まず、どんな場合でも、「客は常に正しいのだ」という姿勢を持つことが基本だと言えます。 どのお客も、自分を丁寧に扱ってくれるのを望んでいます。つまり、クレームを言うお客の理由は千差万別だということを客の立場に立って理解する必要があるのです。
以下に、クレーム処理をするときの留意点について挙げていきますので参考にしてみてください。
① 迅速な応対を心掛ける
待たせることでお客の怒りは倍増します。クレームにはすぐ応対し、お客を待たせないことが大切です。
② 注意深く話しを聞く
客が何を言いたいのか、急がせずにじっくり聞くことが大切です。話をお聞くことにより、お客の怒りが収まることはよくあることです。 また、単に話を聞くだけでなく、書き留めましょう。メモを取ることはお客にこちらが真剣に話を聞いているということを示すと同時に、後でお客のクレームの内容を検証するのにも役立ちます。
③ お客の立場で聞く
お客の立場に立って問題点を見ることが大切です。話を聞きながら、「大変でしたね」「それはご迷惑をお掛けしました」など、自分がもしその立場だったらどう感じるかを想像しながら応対しましょう。
④ 言い訳をしない
お客のクレームは、店のスタッフを個人的に攻撃しているのではありません。それを踏まえて、お客の立場で一緒に問題点を見ていきましょう。 あなたがお客で、店でクレームを言ったときにスタッフが言い訳をしたらどうでしょう。もう二度と来店しないのではないでしょうか。 言い訳をするのは火に油を注ぐようなもの。お客は弁解や説明を求めているわけではなく、不満を解決したいのです。問題を解決するために誠意を持って応対することが大切です。
クレームを解決するということは顧客満足を高めることにつながります。そしてクレームは改善していく絶好のチャンスなのです。
雑 学
運転免許証の「12桁の番号」の意味
【上2桁】
免許を取得した各都道府県の公安委員会の番号
【上3、4桁】
免許証を取得した年(西暦)の下2桁
【5~10桁】
各都道府県毎に管理されている管理番号
【11桁】
チェックデジットというもののようで、入力した数字に間違いがないか、偽造されていないかを確かめるための数字
【12桁】
免許証を再発行した回数
一度もなければ0のままとなり、紛失などで再発行するたびに加算されます。
金融機関の住宅ローン審査担当者はここを見ている方もいるそうです